株式会社設立後の定款変更

設立時の定款

株式会社を設立する時は、「定款を作成して公証人の認証を受けなければならない」

という事は皆さんよくご存じの事と思います。

それなら、株式会社を設立した後にも、定款を変更するには公証人の認証が必要なのでは?

という風に考えてしまいそうですが、公証人の認証が必要なのは、あくまでも設立に際してです。


【会社法】

第26条第1項(定款の作成)

・株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

第30条(定款の認証)

・第26条第1項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。

設立後の定款変更

新規の取引先との契約や、許認可申請等の添付書類として定款が必要になる場合があります。

設立からある程度年数が経ち、内容も変わっていると、設立時の定款でいいのだろうか?

と悩みますよね。

 

公証人の認証によって、効力が生じた定款(以下、「原始定款」といいます。)は、その後、

株主総会の決議によって変更することができます。

その際、「変更した定款に公証人の認証を受ける」必要はありません。

そもそも、「変更した内容の定款を作成しなければならない」という規定がないのです。

現行定款とは

定款変更をした後の定款(以下、「現行定款」といいます。)とは、本来、「原始定款」と定款変更

の決議を行った際の「株主総会議事録」を合綴したものをいいます。

 

これを見る事によって、定款変更の経緯が詳細に分かります。

しかし、議事録が多くなると一目瞭然とはならず不便ですし、何よりも提出する際のコピー等を取る作業が非常に手間です。

そこで、必要に応じて現在の内容にあう「現行定款」をワード等で作成し直しておきましょう。

 

株式会社の設立後に提出を求められる定款というのは、ほとんどが「現行定款」の事を意味していますので、その定款に公証人の認証がなくても心配ありません。

もちろん会社設立後に定款変更がなければ、悩む事なく原始定款のままで大丈夫です。

原本証明とは

提出先によっては、定款の写し(原本証明付き)1部という場合があります。

この場合も、公証人の認証という事ではありません。

会社の代表者が証明をすればよいのです。(下記参照)なお、原始定款の写しであれば原本証明は不要です。


この定款の写しは、原本と相違ないことを証明する。

〇年〇月〇日 ←証明した日付

東京都武蔵野市〇〇町〇〇番地

株式会社〇〇

代表取締役 山田太郎  代表者印 ←証明日時点の代取


【会社法】

第318条第1項(議事録)

・株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。

第466条(定款の変更)

・株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。

定款と登記簿の内容が一致しない

ご相談やご依頼時に、定款と現在の登記簿を確認させて頂くことがございますが、定款と現在の登記簿の内容が一致しないという事はよくあります。

目的が追加されていたり、本店移転や商号が変更されていても(登記済)、定款には反映されていないという意味です。

 

これは、「原始定款」と定款変更の決議を行った際の「株主総会議事録」を合綴していないためです。

登記事項であれば、履歴事項証明書等の記載から読み解くことは可能ですが、株主総会で決議した内容であっても、その全てに登記が必要という事ではありませんので、注意が必要です。

 

例えば、役員の任期変更(伸長)の決議をしていても、役員の任期は登記事項ではないので、

その記載のある議事録が合綴されていない場合(現行定款に記載無)は、現在の役員の任期が満了しているのか、登記を懈怠しているのか、判断に困ります。

 

家族間経営や、個人経営の会社では実際そこまで厳密になされていない事も多いと思いますが、会社の存続期間が長くなり、いつ何を変更したのかが分からなくなってしまう事は避けたいものです。

 

「株主総会議事録」は、登記申請の為だけに必要なのではありません。

登記に関わらない内容であっても、作成・保管を怠らないようにしましょう。