出生から死亡までの戸籍は何のため
父が死亡し2ヵ月ほど経った頃、母が父名義の預金がある信用金庫に手続きに行くという。
父の相続人は、母と3人の娘である。母に言われるまま、娘達はそれぞれ戸籍謄本と印鑑証明書を渡し、A4の用紙に捺印した。
事前に準備していた戸籍謄本・印鑑証明書等を持参したが、書類が足りないとの事でその日は手続き出来ないまま帰宅した。こちらに移り住んで40年も経っている。母は、少し面倒な様子で「〇〇の戸籍も取り寄せて下さい」って言われたのよ、と愚痴をこぼした。
被相続人の出生~死亡までの連続した戸籍
何のために?という疑問をもちつつ、相続の手続きって面倒だなぁ…と、深く考えずにやり過ごした経験、ございません?
相続が発生した場合、まずは法定相続「人」の確定から行います。
ですので、父の相続人は誰か?を、戸籍から調査するんです。
この夫婦は幼馴染で二十歳で結婚し、3人の娘に恵まれて…と聞けば、相続人はこの4人だと明らかなようにも思えますが、父の戸籍をたどってみた結果、認知した子が発覚するなんて事もあるんです。
ですので、相続手続きでは、死亡から(死亡の事実を確認します。)出生まで(生殖能力可能な年齢までという意味です。)遡り、連続した戸籍が必要になります。
相続の検討順序
1.法定相続「人」の確定
①法定相続人
②相続人の修正
- 相続開始以前の死亡(代襲相続)
- 廃除(代襲相続)
- 欠格(代襲相続)
- 放棄
2.相続「分」の確定
①法定相続分
②相続分の修正
- 特別受益
- 寄与分
- 遺産分割
- 遺言
- 相続分の譲渡
今まで不思議に感じていた方は、少しスッキリしたでしょうか。戸籍謄本って、あの手書きの細かい字を読み解くのにとても苦労しますが、それぞれの人生が詰まっていて、ドラマティックです。皆さんも機会がありましたらご自分の戸籍謄本を取得してみてはいかがでしょう。戸籍謄本には、住民票や印鑑証明書のように、提出に際しての期限がございませんので、大切に保管していれば無駄にはなりませんよ。